休日になると新たな発見と出会うために、何の計画も立てずに電車に乗って出かけます。電車でほんの1時間くらいの身近な場所でも、これまで見たことのない風景の中を歩くのは何より楽しい。
この日は、とある方の文学資料館に辿り着きました。予定を立てないって、どうしてこんなに広がりがあって楽しいんだろう。ワクワクしながら展示されている本や手書きの原稿、その方の経歴にまつわる年表などを見ていきました。
野田宇太郎(詩人・文芸評論家・文芸誌編集長)という方の人生が凝縮されたその空間は独特な静けさが漂っているのにも関わらず、その方の活動内容を見ていたら自分の中から突然小説に対する情熱が湧き上がってきた。
採算が取れないと分かっていても才能ある若き小説家の作品を世に送り出そうと情熱を注いだり、権力に屈することなく自分の信じる道を突き進む生き方など、経歴を目で追っていくだけでも情熱が伝染してしまうのに、当時この方と同じ目標に向かって共に歩んだ人達は常に発熱した状態だったかもしれない。
この場所を偶然訪れなければ、この方の存在をずっと知ることはなかったのかと思うと凄く不思議。こんな発見があるから、ちょっとした旅がやめられない。